Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

Lisez 完本 たぬき汁 (たぬきじる) de 佐藤 垢石 (さとうこうせき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 133 158 caractères · 273 écrans

Aozora Bunko

『七面鳥』と『忘れ褌』

一

『斉正、その方は七面鳥を持っているか』

鍋島斉正が登城したとき、将軍家定がだしぬけにこんな質問を発したから斉正は面喰らった。

『……』

『持っているじゃろう、一羽くれ』

『不用意にござります。わたくし生来活き物を好みませぬので――』

『はて、心得ぬ』

『何か、お慰みのご用にでも遊ばされまするか』

『そんなこと、どうでもええ』

家定は、生まれつき聡明の方ではなかった。水戸斉昭から越前慶永へ送った手紙に――上様日頃の御遊びは、鵞鳥を追ひ、或ひは御殿にて大豆を煎り給い――とあるのを見ると七、八歳の若君であればともかく、三十歳の将軍の遊びごととしては無邪気を通り越している。大奥で、豆をいるなどということを、一体誰が教えたものであろう。

また、宇和島藩主伊達宗城から、やはり越前慶永への書翰に――この頃、井上佐太夫御預り御秘事の御筒打候節、御覧これ有りし末、御園中の林または竹なぞ茂叢の中を、裏もなき御草履にて、御駈け廻り遊ばし、御踏抜きども遊ばさる可くと、奉行は流汗恐縮ながら、奔走御供申上候――と述べたのがある。これは、将軍が破れ草履をはいて、竹叢中の切っ株をもお構いなく走り回ったのを描いたのであろうが、下々の者が聞いても、よほどお頓狂の将軍であったとしか考えられなかった。