Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

Lisez 完本 たぬき汁 (たぬきじる) de 佐藤 垢石 (さとうこうせき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 133 158 caractères · 273 écrans

Aozora Bunko

盗難

一

私は、娘を盗まれたことがある。そのときのやるせなさと、自責の念に苛まれた幾日かの辛さは、いまでも折りにふれてわが心の底によみがえり、頭が白らけきる宵さえあるのである。

結婚後、五、六年になるが不幸にも、私ら夫妻は子宝に恵まれなかった。しかし、私らはそれを悩みとも、不幸とも思っていなかった。そして、子供のない安易の生活を楽しんでいるのである。子供がほしいと切望したところで、掌ででっちあげるような訳にはまいるまい。また、欲しくないって言ったところで、産腹の夫妻は毎年産む例はいくらでもある。また世の中には結婚後二十年、二十五年と月日がたったというのに、思い設けぬ子宝を授かる人さえある。だから、まあまあ運は天にまかせろと言った気分で、別段子供のない寂しさなど味わってみもしなかった。

ところが、私の家庭に子のないことを、私の郷里の方で大分問題としていたらしい。大正六年の秋であったと思う。私の妹が突然郷里から東京へでてきて、私ら夫妻に言うに、兄さんたちはまだ若いのであるから、ゆくさきのことなど心配にならないであろうが、故郷の老父はゆくさきが短い。