Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ならしげざっぴつ

小出楢重随筆集

小出 楢重

Lisez 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) de 小出 楢重 (こいでならしげ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 334 351 caractères · 657 écrans

Aozora Bunko

然し乍ら若くて野心ある画家は、空中美人大観兵式でも、らくらくと描き上げるだけの夢と勇気を持つが、もう多少の老年となれば左様な事も億劫にして莫迦らしく、若い男女の為めの背景となるところの興味も失って了う。つい洗練された自分の芸術境の三昧に入り度がり、籠居して宝玉の製造に没頭する。

情けない事には、巴里の如くその玉を引取るべき画商がなく、展覧会は完全に登竜門の大競技場となり漫歩の背景となりつつあるが為めにこの常設館のイルミネーションの中で完成されたる滋味ある宝玉も同居するのだから、甚だそれはねぼけた存在と見え勝ちである。玉から云えば他の作品はポスターでありポスターから云えば玉はねぼけた存在であると云う。又そう云う処に若い心が発散するのである。然し若き尖端は永久に尖端ではあり得ない。やがて今の尖端人は又玉を製造する日が来る。そして次の尖端の邪魔をする訳である。

私は芸術家が宝玉と化けた時、これを何か適当な陳列棚へ集めて、尖端の大競争場裡から救い上げて見度いと思う。でないと、全く球場に埋まる老いたる玉が気の毒であり、芸術の完成を萎びさせていけないと思う。