Classiques japonais avec furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lisez 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) de 小出 楢重 (こいでならしげ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 334 351 caractères · 657 écrans
子供と妻と亭主と打ち揃って往来を散歩することはもっとも恥ずべき所業であったことは、現代から見ると大よそ嘘の如き話である。
昔の日本の大人は早く童心を失ってしまい、子供も早く童心を卒業しようとした。早く内密の世界へ、大人らしく暗く世帯じみた世界へばかり志願していたように見える。
猫を私は愛するが、彼は食べて寝て起きて然る後私の手先の運動に対してふざけて遊ぶ。私はその間、猫とともに笑っていることが出来る。ところがある時期がくると手を動かしてやっても手毬を見せても鬱陶しい顔をして見向きもせず、常に屋根に志してうろうろと出て叫び、四、五日も姿を隠しやがてうす汚れのした不良少年と化けて帰ってくる。その時がすがすと食事をした後、ようやく元の童心の猫へ立ち帰る。
私はそのつきもののした期間の猫の暗く悪らしき態度を嫌に思うが、しかし止むを得ない彼らの運命でもあるのだから致し方もない。でも猫は五、六日で元の童心へ立ち帰るが、人間は一旦暗くなると一生涯の連続となるが故に、大人も子供も皆この暗い内密の世界に包まれては、まったく明るい太陽も邪魔な電灯にしか過ぎない。猫にも人間にも、どうせ夜の暗さは間違いもなくやってくる。