Classiques japonais avec furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lisez 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) de 徳冨 蘆花 (とくとみろか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 742 caractères · 256 écrans
三の一
「いかがでございます?」というようなる心地して武男が母は思わずもわななかれつ。「じゃって、病気をすっがわるかじゃなっか」と幾たびか陳弁すれど、なお妙に胸先に込みあげて来るものを、自己は怒りと思いつつ、果てはまた大声あげて、お豊に当たり散らしぬ。
されば、広島の旗亭に、山木が田崎に向かいて娘お豊を武男が後妻にとおぼろげならず言い出でしその時は、川島未亡人とお豊の間は去る六月における日清の間よりも危うく、彼出すか、われ出づるか、危機はいわゆる一髪にかかりしなりき。
三の一
枕べ近き小鳥の声に呼びさまされて、武男は目を開きぬ。
ベッドの上より手を伸ばして、窓かけ引き退くれば、今向こう山を離れし朝日花やかに玻璃窓にさし込みつ。山は朝霧なお白けれど、秋の空はすでに蒼々と澄み渡りて、窓前一樹染むるがごとく紅なる桜の梢をあざやかに襯し出しぬ。梢に両三羽の小鳥あり、相語りつつ枝より枝におどれるが、ふと言い合わしたるように玻璃窓のうちをのぞき、半身をもたげたる武男と顔見合わし、驚きたって飛び去りし羽風に、黄なる桜の一葉ばらりと散りぬ。
われを呼びさませし朝の使いは彼なりけるよと、武男はほほえみつ、また枕につかんとして、痛める所あるがごとくいささか眉をひそめつ。