Classiques japonais avec furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lisez 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) de 徳冨 蘆花 (とくとみろか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 742 caractères · 256 écrans
教育の差、気質の異なり、そはもちろんの事として、先妻の姉――これが始終心にわだかまりて、不快の種子となれるなり。われひとり主人中将の心を占領して、われひとり家に女主人の威光を振るわんずる鼻さきへ、先妻の姉なる人のしばしば出入して、亡き妻の面影を主人の眼前に浮かぶるのみか、口にこそ出さね、わがこれをも昔の名残とし疎める浪子、姥の幾らに同情を寄せ、死せる孔明のそれならねども、何かにつけてみまかりし人の影をよび起こしてわれと争わすが、はなはだ快からざりしなり。今やその浪子と姥の幾はようやくに去りて、治外の法権撤れしはやや心安きに似たれど、今もかの水色眼鏡の顔見るごとに、髣髴墓中の人の出で来たりてわれと良人を争い、主婦の権力を争い、せっかく立てし教育の方法家政の経綸をも争わんずる心地して、おのずから安からず覚ゆるなりけり。
水色の眼鏡は蝦夷錦の信玄袋より瓶詰の菓子を取り出し
「もらい物ですが、毅一さんと道ちゃんに。まだ学校ですか、見えませんねエ。ああ、そうですか。――それからこれは駒さんに」
と紅茶を持て来し紅のリボンの少女に紫陽花の花簪を与えつ。
「いつもいつもお気の毒さまですねエ、どんなに喜びましょう」