Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lisez 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) de 正岡 容 (まさおかいるる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 163 270 caractères · 325 écrans
「いって参ります師匠」
またかえりには、
「只今かえりましたがきょうはお伺いできません、どうぞお大事に」
こう駕籠の中で呟いていることが始終ではないか。これを要するに、かくまで、かくのごとくにまで、一から十まで百まで千まで師匠おもって、おもい抜いて止まらざるこの私ではないか。
だのにだのに……だのに師匠はあんなひどいこといってお怒りなすった。こちらに覚えのあることならどんなにも御詫もし、改めも致しましょう、だが正直一途の貧乏人のあばら家へやってきて、大刀突き付け金銀財宝残らずだしてしまえというようなとんでもないこといわれても、どうしていいやら困ってしまう。
ああこれほど自分のおもっている真心が、さりとてはまた情なや、四谷なる師匠が夢枕へはかようすべとてはないのだろうか。
師匠、師匠。
分って下さい。
どうかこの私を分って下さい。
圓太をお可愛がりなさるのは御勝手だけれど、この私を裏切り者だなどとおっしゃられては、私は……私は……なんで……立つ瀬が。
いつかまたしてもボタボタ涙で欄干を濡らしていた。
「オ、おどろいた師匠、情ねえよ俺」
いつの間に立っていたのだろう、頬膨らました萬朝が急に後から肩を叩いた。