Classiques japonais avec furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lisez 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) de 正岡 容 (まさおかいるる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 163 270 caractères · 325 écrans
の前座さんはすっかり楽ができて、平常よりよけいに先輩たちの噺が聴いていられるらしい。
バカな話だよ、考えりゃ全く。
しかもこのごろのひどい霜夜、師匠の供をしてかえってくるとき、きっと師匠は途中でそばやへ入る、でなければやた一のおでんやへ飛び込む、そうして熱燗でいっぱいやりながらそばやなら鴨南蛮か天ぬき、おでんやなら竹輪かがんもへ辛子をコテコテと付けてさも美味しそうにそいつをたべる。
永いことかかって充分に味わった上やっとたべ終ると、
「サ行こう」
表へでて寒い闇の中で、
「たべたいかえ」
こういって訊く。
たべたいやね、そりゃ俺だって。聞くだけ野暮だろう。
で正直に、
「ヘイ」
ついこういうと、
「……たべてえとおもったら……」
顎で二度三度肯いておいて、
「早くお前、真打になんなよ」
だって――。
冗、冗談じゃない。
これが常日ごろ噺の稽古をしていてくれて、その上私が拙いんなら、こんな皮肉な真似をされてもいい。
あきらめもするし、なるほど師匠のいう通りだとおもっていよいよ勉強もするだろう。
それが噺の勉強をしようためのあらゆる大手搦手の城門はピタリと自分が閉めてしまっておいて、辛い目にだけいろいろあわして、早くお前早く真打になんなったって、そんな、そんな無理なこといわれたって(あまりといえばお情ない)。