Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やまをおもう

山を思う

石川 欣一

Lisez 山を思う (やまをおもう) de 石川 欣一 (いしかわきんいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 79 814 caractères · 157 écrans

Aozora Bunko

五

私の目には、鋼鉄のように光る空と、その空にクッキリ、アウトラインを見せる山々とが見える。長い、暑い、忙しい夏に疲れ切った心は、今晩にでも大阪を立って信州へ行こうと思う、だが、いつも金がないか、時間がないか、あるいは両方が無いかして、その儘になる。私は仕方がないから酒をのむ。「秋の高原」なる、素晴らしい随筆が、いつ迄も世の光を見ずにいることを自ら惜しみ、訳の分らぬことを云いながら寝て了う。

五

四五年前の秋、スコットランドのアクレイ湖畔で摘んだヘザアの花、小さな額ぶちに入れて置いたが、いつか忘れていた。四五日前、ふと思い出した戸棚をさがしたら、硝子が割れて、只さえ乾いた花や葉は、ボロボロになっていた。この次、思い出して見る時には恐らく鼠が喰っちまっていることであろう。なまなましい心の痛手も三鞭の泡のように景気のいゝ恋愛も、その思出となるといつの間にか黴が生えたり、鼠に喰われたりする。いわゆる人生のこと、よくは判らないが、大方これでいゝのだろう。

秋といっても十一月。スコットランドは冬が長い。ストーヴのそばを離れると寒くてやり切れぬような季節である。

朝、九時近くなってトロサックス・ホテルの人気の無いヴェランダに立った私は、まっ向から照りつける太陽に、いさゝか面喰ったが、ズラリと並んだ籐椅子の一つに腰を下して