Classiques japonais avec furigana
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やまをおもう
山を思う
石川 欣一
Lisez 山を思う (やまをおもう) de 石川 欣一 (いしかわきんいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 79 814 caractères · 157 écrans
ロープこそはアルプスのシンボルと云えよう。登山、ことにロック・クライミングには必要欠く可からざる品である。現にアブラハム氏の「コムプリート・マウンテニヤ」の第三章「登山具」を読むと、第一に登山靴、第二にロープ、次でアイスアックス、ルックサックなる順序に説明してある。また、かの有名なるウィンパアが、マッターホーン登攀に成功した話、下山の途中起った悲劇、それ等に関してロープが如何に重大な役目をつとめているかを思えば、これこそ登山具中の王者とも云う可きである。だが不幸にして私は本式のロック・クライミングをやったこともなければ、実際ロープを必要とするような山に登ったこともない。その上、如何に山を思えばとて、直径五六分もある太い綱を百呎、座敷へかつぎ込んだ日には、井戸替え屋の新年宴会みたいで、面白くも何ともない。
そこでいよいよアイスアックスが出て来る。アックスは鋼鉄を冠った鍛鉄である。柄はグレインの通ったアッシで出来ている。長さ三尺、重量は手頃と来ているから、よしんば振り廻しても大したことはない。右手に持ち、左手に持ち、あるいは柄の木理を研究し、アックスをカチカチ爪でたたいて盃の数を重ねて行けば、いつか四畳半の茶の間も見えなくなり、白皚々たる雪を踏んで大雪原に立つ気になったりする。