Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やまうらきよまろ

山浦清麿

吉川 英治

Lisez 山浦清麿 (やまうらきよまろ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 45 573 caractères · 91 écrans

Aozora Bunko

恋砧

一

と、金子重輔は、すたすた去ってしまった。

恋砧

一

父のない後は、長男が家の柱だった。

母でも、老いての後は、家長の彼に、気がねをした。どんな事でも、彼が頷かなければ、決めなかった。

だから、半農半武士の郷士に過ぎない、ここの小さな家族制度でも、一国に喩えれば、長男のことばは、主君のことばみたいであった。

足利以前から、この信濃の山間、小諸在の赤岩村に、十何代も続いて来ている旧家の――逞しい梁や、黒光りな柱などと共に、――それは今でも厳として、失われていない山浦家の家風なのであった。

『真雄や、ことしは、雪菜がよう漬かったぞよ』

ひろい鍛冶土間の片隅に、六畳ほど休み場がある。

母のお菅は、茶盆をそこへ置いて、鞴に向っている長男の真雄へ云った。

『すこし休まぬかの。茶を入れて来ましたがな』

真雄は、刀の地鉄にする、玉鋼を熔かす仕事に、顔まで、炎にしているので、

『後で』

と、云った儘、母の方も見なかった。

お菅は、すこし耳が遠かった。もう茶を注して、

『今の、去年の漬込みを、一樽開けてみたところ、よい色に漬かっているわの。じゃが、其方が箸をつけぬうちは、誰にも、喰べさす事ができぬによって、一箸、喰べてみておくれ。