Classiques japonais avec furigana
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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
Lisez 幕末維新懐古談 (ばくまついしんかいこだん) de 高村 光雲 (たかむらこううん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 891 caractères · 10 écrans
その人の妹娘というのであるから、私もむげに嫌というわけにも行かない。が、前申す通り境遇上、まだ妻を娶るに好都合という時機へも来ていないのであるから、私は生返辞をしていた。定次郎氏の家は神田富山町にあって、私も折々同氏を訪問し、妹の人とも顔は見知っている。器量も気立ても好かりそうだなど自分も考え、明らさまに断わりをいうわけにも行かず、有耶無耶の間に日が経っております中に、その娘の人は、計らず、ふとした病気で亡くなってしまいました。
その年は暮れ、明けて明治八年、私は二十四となる。
半年ばかり、一時結婚談も中絶していましたが、またその話が持ち上がる。同時に、私として、どうも、家内を迎えなくてはならないようなことになって来ました。
これは今まで、大分弱っておられた母が、ドッと臥床に就くというほどではないが、大変に気息切れがして、狭い家の中を掃くのさえ、中腰になって、せいせいといい、よほど苦しいような塩梅である。私は、どうも、これはいけないと思い、何んとかせんければと心を痛めました。まず、何よりも滋養分を沢山差し上げるがよろしいと思い、その頃、厩橋側に富士屋という肉屋があって、其所の牛肉が上等だというので、時々牝牛の好いのを一斤ずつ買って母へ持って行って呈げました。