Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Lisez 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 45 616 caractères · 90 écrans

Aozora Bunko

「こいッ、天魔太郎」

犬丸は軽わざの名人のように、らくらくとそのハシゴをのぼって、やぐらの頂上にたち、さて、扇をひらいて天魔太郎をさしまねくのです。

「その儀ならば……」

天魔太郎は南のやぐらの下に立って、しばらく空中をあおいでおりましたが、やがて、ふところから扇をとりだし、いっぱいにひらいてサッとほうりました。

「あッ、あれは?」

空にまいあがった扇は、クリルとひるがえるとまっしろな雲になり、しずしずと天魔太郎の足もとにまいおりました。と、天魔太郎それをふむと、雲はフワフワと浮んでやぐらの頂上に天魔太郎をはこびそのままもとの扇にかわって、ヒラヒラと空にまうのを、太郎は手にとってもとのふところにかえします。

「ワーッ」

というかん声がおこりました。もとより天魔太郎の幻術は手ほどきで、なんでもない群衆催眠術の一手なのですが、あまりのあざやかな手ぎわに、竹矢来のそとの大群衆、しばらくはだいかっさいだいかんこは鳴りもやみません。

「お、やるな、太郎、しからば」

北のやぐらの上の猫間犬丸は、懐紙をとって、やぐらの下にポンとほうると、

「ああ、――」

みるみるそれは、小ウシほどある金毛の大トラとなって、目をいからし、キバをならし、ひと声たかだかとほえて、南のやぐらにせまるのです。