Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

にじ

彩虹

山本 周五郎

Lisez 彩虹 (にじ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 898 caractères · 28 écrans

Aozora Bunko

五

伊兵衛が立つと、さえは後ろへまわって着物を肩にかけ、丈を当ってみて、

「はい有難うございました」

とそこへ坐った。そのまま針を持って、しずかに縫い続けるさえの姿を、伊兵衛は暫らくぼんやりと見まもっていた。

「先日の話は考えてみたか」

「…………」

さえは眼をあげた、それはこちらの心を覗きでもするような眼つきだった、それからそっと微笑しながらうなずいた。

「……はい」

「それで返辞は、どうなんだ」

「わたくしの一存では、本当にどう申上げようもございませんわ、だって本当にわからないのですもの」

「それでは返辞になっていないよ」

「もし頼さまが」

と、さえはまた彼の幼な名を呼んだ。

「……もしも頼さまが嫁げと仰しゃるんでしたら、……」

「おれの気持はこのあいだ話した筈だ」

「あのときは勧めて下さいましたわ」

「しかしおれの気持はさえの気持じゃない、脇田の知りたいのもさえ自身の気持だろう、問題はおまえの一生なんだ、他人の意見に縋るような弱いことでどうするか」

「ではお返辞を致しますわ」

さえは暫らくしてそう答えた。

「……わたくし、お受け申します」

五

その年の夏は十何年ぶりという暑さで、梅雨明けから二百十日すぎまで一粒の雨もなく照り続けた。