Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lisez 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 333 caractères · 385 écrans
二十六
そこには海があり、月があり、磯があった。若い男の影と若い女の影があった。始めは男が激して女が泣いた。後では女が激して男が宥めた。ついには二人手を引き合って音のしない砂の上を歩いた。あるいは額があり、畳があり、涼しい風が吹いた。二人の若い男がそこで意味のない口論をした。それがだんだん熱い血を頬に呼び寄せて、ついには二人共自分の人格にかかわるような言葉使いをしなければすまなくなった。果は立ち上って拳を揮い合った。あるいは……。芝居に似た光景は幾幕となく眼の前に描かれた。僕はそのいずれをも甞め試ろみる機会を失ってかえって自分のために喜んだ。人は僕を老人みたようだと云って嘲けるだろう。もし詩に訴えてのみ世の中を渡らないのが老人なら、僕は嘲けられても満足である。けれどももし詩に涸れて乾びたのが老人なら、僕はこの品評に甘んじたくない。僕は始終詩を求めてもがいているのである。
二十六
僕は東京へ帰ってからの気分を想像して、あるいは刺戟を眼の前に控えた鎌倉にいるよりもかえって焦躁つきはしまいかと心配した。そうして相手もなく一人焦躁つく事のはなはだしい苦痛をいたずらに胸の中に描いて見た。