Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

うらみなきさつじん

恨なき殺人

宮島 資夫

Lisez 恨なき殺人 (うらみなきさつじん) de 宮島 資夫 (みやじますけお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 611 caractères · 56 écrans

Aozora Bunko

と、松田は其時はじめて口を利いた。

「あるとも」と萩野は、よく知り切ったように答えたが、松田はそれきり黙ってしまった。

峠の下の茶屋の前を通る時、池田は障子のかげの暗いところに、孫根の巡査だと言った男の姿をチラと見掛けた。けれども彼は、わざと知らない振りをして行き過ぎてしまった。そして仙太の茶屋の前に来た時、

「此処で何か食って行かないか」と言って先きに入った。

彼等はまた其処で酒を飲んだ。崖下の川でとれたという鮎と玉子があったのを、せめての肴に松田にすすめたが、彼はもう其処では余り食いもしなかった。

「監獄へ行きゃ不自由だらけだ、食えるだけ食ったら好いじゃないか」と萩野がすすめると、

「山にいたって、監獄へ行ったって、大した違いはありゃしない」と松田は、憎らしいほど落着いていた。

「その気ならまあ好いや、長屋で金を集めて弁護士を頼むから、あんまりがっかりしねえようにな」と萩野が言った後について、

「僕等も出来る丈けのことはするよ、それから何処か知らせてやるところはないのか」と池田が訊ねると、

「親分だけだけど、奉加帳で何処を歩いてるか解らないんです」と云ったが、松田の眼には涙がうるんでいた。