Classiques japonais avec furigana
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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
Lisez 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 151 280 caractères · 301 écrans
アア、俺はまた幻を見ているのだ。いけない、いけない。しかし、いけないと思えば思う程、心は却って、いたいけな幼児の方へ引かれて行った。取られた手を振り放すことも出来ず、いつの間にか、その妖しい子供と一緒に、足は廊下の奥へ奥へと辿っていた。
子供は傍目もふらず闇の中へ進んで行く。川手氏さえ戸惑いしそうな複雑な邸内の間取りを、子供の癖にちゃんと諳んじているらしく、少しも躊躇しないで、廊下から座敷へ、座敷からまた別の廊下へと、グングン進んで行く。
川手氏は相手があまりに幼い子供なので、身の危険を感じはしなかった。それよりも、遠い昔、どこかで見たことのあるようなその子供が、なんとやら懐しく、可哀想にも思われて、取られた手を振り払うどころか、自ら進んで、子供の導くままにつき従って行くのであった。
「小父ちゃん、ここ」
子供が立止ったので、手燭でそこを照らして見ると、意外にも、その廊下の突当りに、井戸のような深い穴がポッカリと口を開いていた。床板が揚げ蓋になっていて、その下にどうやら階段がついているらしい。地底の穴蔵への入口である。
不断の川手氏なれば、この不思議な地下道を見て、忽ち警戒心を起す筈であった。