Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おろかないちにち

愚かな一日

豊島 与志雄

Lisez 愚かな一日 (おろかないちにち) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 045 caractères · 29 écrans

Aozora Bunko

彼がいくら無理な攻勢に出ていっても、瀬川は地域に多少の犠牲を払ってまで戦争を避けた。そして平凡のうちに彼の方が勝となった。

「も一番やろう。」と彼は云った。

「いやもう止そうや。またこの次にしよう。」と瀬川は答えた。

彼は黙って碁盤を側に押しやった。屈辱とも憤激とも云えないような感慨が心のうちに乱れた。

「君は卑怯だ。」と彼は口に出して云った。

「いや、長く打たないせいか、どうも調子が変だ。」と瀬川は別な答え方をした。

「あなた、もう横におなりなさいな。」と妻が云った。

彼は床の中に身体を伸した。枕に頭をつけると、顔だけが妙にほてって、身体に不気味な悪寒を感じた。訳の分らない涙が眼にたまってきた。

彼はそれから殆ど口を利かなかった。その上もう九時を過ぎていた。余り病人を疲らしてはいけないというので、皆寝ることにした。それに、彼はいつも晩早く寝て朝早く眼を覚ます習慣になっていた。

「電気を暫く消してくれないか、何だか妙に眩しいから。」と彼は妻に云った。

静かな柔かな闇に包まれると、神経が穏かに和らいで、彼は銷沈しきった気分に浸されていった。骨の髄まで妙に力がなくて、手足がばらばらになったような深い疲れを感じた。