Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おうぎの

扇野

山本 周五郎

Lisez 扇野 (おうぎの) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 727 caractères · 67 écrans

Aozora Bunko

当時はまだおつるには兄(のちに海で死んだが)がいて、若い漁師のうちでは腕っこきといわれるくらいだったから、べつに家へ仕送りをする必要もなく、好きな芸事の稽古にうちこむことができた。いま桑名屋の主婦になっているおはまも、そのころ叶家にいて、もう売れっ妓の姐さんだったが、おつるの気の強いのと、芸熱心で筋のよいのには驚いたということである。座敷へ出るようになると、たちまち人気者になり、世話をしようという客があとからあとからとあらわれた。こういう客の中には出先の茶屋の義理などで、どうしてもいやと云いとおせないことがある。おつるにも「うん」といわざるを得ない場合が三度ばかりあった。しかし彼女はどうしてもからだを許そうとしないし、座敷からひくことも承知しなかった。無理にからだを求められたりすると、全身が石のように冷たく硬直し、痙攣を起こして、まるでいまにも死ぬかと思われるようなありさまになる。ときには本当に息が絶えたようになるので、三度とも客のほうで諦めて手を引いたのであった。それでも人気は落ちなかった、三味線と踊りはずばぬけているし、なにより座敷が面白いのである。