Classiques japonais avec furigana
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つめ
探偵クラブ 烙印
大下 宇陀児
Lisez 探偵クラブ 烙印 (つめ) de 大下 宇陀児 (おおしたうだる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 509 caractères · 103 écrans
今だって犯人だと思ってはいません。けれども、ほら、あちらにおられる方が、先刻から私に向って頻りに合図をしておられるのです。あなたが一番有力な容疑者だというのですよ」
ほんとうにそんな合図があったのかどうかは分らない。が、その時紳士の一人は弁護士の耳へ小声に何かくどくどと囁いた。弁護士はそこで又喋り出した。
「沖野さん、どうも私も困ってしまったのですがねえ、ところで、もう一つだけ質問をさせて戴きたいのです。例の扉の一件ですが、先刻あなたは故人が扉の把手について、何か苦情を零していたといわれましたね」
「え、それは、いいました」
「そしてそれが一昨日のことだったのですね」
「………………」
「違いますか。こういう場合に、答が曖昧だということは大変に宜しくないことなんですが、先刻は私が念を押して置いた筈でしたね。そうしてあなたは、繰返して一昨日だと仰有ったのでしたね」
「そ、そうです――」
いけないとは思ったが、もう仕方がなかった。
そして、だが一昨日であっては何故それがいけないのだろう?
「そうでした、一昨日でした」
この声がなろうことなら相手に聞えてくれねばよいと思いながら、彼は咽喉の奥でこういった。