Classiques japonais avec furigana
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つめ
探偵クラブ 烙印
大下 宇陀児
Lisez 探偵クラブ 烙印 (つめ) de 大下 宇陀児 (おおしたうだる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 509 caractères · 103 écrans
「もういいかい――」
露子が向うでこういっているので、伯太郎は押入れの襖を閉めるまで、『まあだだよ。まあだだよ』といって繰り返していたが、いよいよ、完全に身体を隠してしまうと、『もういいよ――』と、返事をした。そうして、急に真暗になった押入れの中で、息を詰めて待っていた。
押入れの中というものが、年の行かない少年にとって、どんなに魅惑的なものであるか、これは誰だって知っている通りである。そこには、昼間作り出した闇の神秘があり、また、平生子供には触れたこともない、いろいろの廃物を容れた箱があって、そうした箱の中をあれこれと掻き廻しているうちには、偉大な発見をすることがある。例えば祖父が使っていた蝙蝠傘の、彫刻を施した握り手だの、何かの根付に使っていたびい玉だの、時としては、壊れた古い幻燈器のレンズだの、それこそは、少年が所有する財産のうちで、最も貴重な宝物までがあるのである。
不幸にして、伯太郎の身を入れた押入れには、こうした宝物の箱はなかったので、彼は黴臭い匂いのする蒲団と蒲団との間へ身を潜め、じっと露子の来るのを待っていたが、そのうちに、ふと妙なことに気がついた。