Classiques japonais avec furigana
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ほうろうのやど
放浪の宿
里村 欣三
Lisez 放浪の宿 (ほうろうのやど) de 里村 欣三 (さとむらきんぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 066 caractères · 28 écrans
であるのか『白』であるのか、まるで見当がつかなかった。商売でさえあれば、一枚五厘にもつかない銅幣を五枚も投げ出せばそれで充分なスープを、たった一杯だけしか啜らないお客であっても、彼は因業な眼尻を細めて、にこついた。
大連から歩いて来たという男は、ロシヤ人をさえ見れば、女の臀に見惚れるように、その憂鬱な瞳に、憬がれの閃めきをちらつかせた。
彼は大連から飲まず喰わずに歩きとばして来て、その惨憺たる苦労にも懲りずに、まだこれから、地図だけで見ても、牛の鞣皮みたいに茫漠として見当もつかないロシヤという国へ線路伝いに歩きかねない意気込をもっていた。彼はこの二三日炎天の乾干みたいになって街中を歩き飛ばしていたが、何処でどう捜し求めて来たのか『カルバス』の行商をやっていたが、その売り上げの全部はこの赧顔の強慾な酒場ではたいてしまうのだった。
また彼はどこかで、いつ習い覚えて来たのか知らないが、『ボルシェビキイ』だの『カリーニン』だの『ブハリン』だの、または『イリッチ・レエニン』だの、それから『ハラショ』に『スパシーバ』ぐらいの露西亜語を、支那語と一緒くたに使いまくって、得体の知れない気焔を、誰れかれの差別なく、強慾な主人をでも、生れ落ちた時から馬小舎の悪臭から抜け切ったことのないような馭者、また何処でどう一日一日を喰っ