Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lisez 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 103 349 caractères · 207 écrans
昼でも奥の間には、ポンポロ ポンポロ音をたてゝガスの灯がついている。漠々としたオフィスの中で、沢山の封筒を書きながら、私はよくわけのわからない夢を見た。そして何度もしくじっては自分の顔を叩いた。
あゝ幽霊にでもなりそうだ。
青いガスの灯の下でじっと両手をそろえてみると爪の一ツ一ツが黄に染って、私の十本の指は蚕のように透きとおって見える。
三時になると、お茶が出て、八ツ橋が山盛り店へ運ばれて来る。
店員は皆で九人居た。その中で小僧が六人皆配達に行くので、誰が誰やらまだ私にはわからない。
女中は下働きのお国さんと上女中のお糸さん二人。
お糸さんは昔の(御殿女中)みたいに、眠ったような顔をしていた。
関西の女は物ごしが柔らかで、何を考えているのだかさっぱり判らない。
「遠くからお出やして、こんなとこしんきだっしゃろ……。」
お糸さんは引きつめた桃割れをかしげて、キュキュ糸をしごきながら、見た事もないような昔しっぽい布を縫っていた。
若主人の一郎さんには、十九になるお嫁さんがある事もお糸さんが教えてくれた。
そのお嫁さんは市岡の別宅の方にお産をしに行っているとかで、家はなにか気が抜けたように静かだった。