Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

Lisez 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 103 349 caractères · 207 écrans

Aozora Bunko

雷雨

「お母アさん! お母アさん!」

何もかも厭になって、二階の女給部屋の隅に寝ころぶ。鼠が群をなして這っている。

暗らさが瞳に沈むと、雑然と風呂敷包みが墓場の石塊のように転がって、寝巻や帯が、海草のように壁に乱れている。

煮えくり返えるような階下の雑音の上に、おばけでも出て来そうに、シンと女給部屋は淋しい。

ドクドク流れ落ちる涙が、ガスのようにシュウシュウ抜けて行く。悲しみの氾濫、何か正しい生活にありつきたい。

何か落ちついて本が読みたい。

しゅうねん強く

家の貧苦・酒の癖・遊怠の癖

みなそれだ

ああ、ああ、ああ、

切りつけろそれらに

とんでのけろ、はねとばせ

私が何べん叫びよばった事か、苦しい、

血を吐くように芸術を吐き出して狂人のように踊りよろこぼう。

槐多はかくも叫びつゞけている。こんなうらぶれた思いの日、チェホフよ、アルツイバァセフよ、シニツラァ、私の心の古里を読みたい。働くと云う事を辛いと思った事はないが、今日ほど、今こそ字がなつかしい。だが今は皆お伽話の人だ。

薄暗がりの風呂敷の中に、私は直哉の和解を思い出した。

こんなカフェーの雑音に巻かれると、日記をつける事さえ、おっくうになって来る。