Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 190 406 caractères · 381 écrans

Aozora Bunko

低い丸い丘である。

見れば、この丘から部落に至るまで、真っ黒に味方の人数で埋まっていた。華やかな色とては何一つなく、泥と血と雨にまみれた三千余の戦兵であった。戦い熄んで、一かたまりになった時、雨も熄み、陽も照り、濛々と、三千の武者いきれから白い湯気が立ちのぼっていた。

村民は、清水を汲んで、陣地へ担いこんでいた。芋を煮ていた。餅をついていた。馬も、草や人参を咥えていた。

「浅野殿の隊は」

藤吉郎は、武者混みへ割って入りながら、帰属する自分の隊をたずね廻った。彼は、血まみれな人々の甲冑にふれると、何か、面目ない気がした。自分も恥なき戦いはしたつもりであるが、これという人目立つ手功は何もないせいであった。

ようやく、本隊へ戻って、彼も武者いきれの中に立ち、初めて心の底から、

「勝ったのだ」

と、むしろ敗れた敵の大軍が、そこの丘から眺めても、もう何処にもいないのが、不思議のようにさえ思われた。

やがて。

丘の上なる信長の前へ、集められて来た敵の首級は、二千五百と数えられた。治部大輔義元の存在も、その中のただ一箇でしかなかった。

敵の首級二千余に対して、味方の死者も少なくはなかった。