Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 190 406 caractères · 381 écrans

Aozora Bunko

黍粉の袋も、次に押し戴いて、召使の若党へ手渡した。

「台所へ持ってゆけ」

「はい」

「何をわしの顔を見るか。泣くべき時に泣くのに何のふしぎがある。……これは、母上が、御自分の手で、夜業に挽いて下された黍粉だ。勝手元の下婢にあずけて、粗末にせぬよう、団子になとして、時折わしに喰わせてくれ。……幼い時からわしはそれが好きでなあ。母上には、それを覚えておいでなさったのだろう」

彼は、寧子のことをすっかり忘れていた。独り喰う夜食の間にも、

「母上には、どんな物を召し上がっていらっしゃるだろうか。わしから時折、かねをお送りしても、相変らず、うまい物は子に喰わせ、良人には酒を買い、御自分は塩や粗菜ばかり喰べておられるのではないか。母上には、長生きをして戴かぬと、大きな張合いがなくなってしまうが……」

眠りについてから、また、

「そうだ。……母さえお迎え申さぬに、妻のことなど……ちと早いぞ。まだ早い」

彼は、反省した。

しかし反省は、諦めではない。寧子を娶ることは、もっと先のほうがよいと考えたまでのことである。

いつか眠っていた。

戛。戛。戛……

馬蹄の音が、すぐ戸外を駈けて行った。