Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 353 caractères · 371 écrans
正直は愚にもひとしいものだろうか。無策ということは結局知慧なしを意味するものか。ただ誠意ばかりでは人の心を打たないものなのか。
「……分らなくなった」
藤吉郎は、黙々、山を降りて行った。――空しくである。
遂に空しく、彼は、半兵衛の住居から帰るしかなかった。
「なんの、多寡が……」
反感に燃える眼で、後を見た。今は憤りしかない。未練もない。きょうの初対面は、ていよく翻弄されて帰されたものである。
「いや、二度と会うものか――二度目には戦場で、半兵衛の首を下へ置かせて、床几から検分してやる」
そう思った。
唇を噛んで誓った。
礼をつくし、恥をしのび、幾たびも下げた頭と、通い歩いたこの道が癪である。
楽しまない。悶々と思う。
もう一度、振り向いて、
「きりぎりす奴」
何の意味でもなく罵った。多分、半兵衛の蒼白い顔と痩せた体が思い出されたからであろう。
憤然、早足になった。
そして片側に断崖をのぞむ曲り角へかかると、半兵衛の家を立つまで怺えていたものを、ふいに思い出したらしく、断崖に立って谷間へ尿を放った。
一条の白虹は、途中から颯々の霧となって飛んだ。
藤吉郎は、放心して、天を仰ぎながら用をたしていたが、すむと直ぐ、