Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 353 caractères · 371 écrans
――眸も常に太刀打ちを業としている者らしからず静かで温和である。深く冷たくさえ見える。
楚々と、茶を運んで来た女子があった。彼の前へ、無言で茶を供え、無言で襖のかげに吸われてゆく。それも召使とは思えなかった。誰か、家族のうちのひとりだった。よほどの賓客でもなければ、こういう鄭重な礼は執らない。
「お待たせいたした」
主の森可成は、そこへ来て、初めて客を見た。
――果たして。
と、心のうちに頷くもののように、重ねて、慇懃に、初対面の挨拶をした。
武芸者も、物腰しずかに、褥を下がって、
「あなたが、森三左衛門殿におわすか。自分身勝手のため、役人方に手数を煩わして恐縮でござった。それがしは、越前朝倉家の領内よりひそかに参りました者。明智十兵衛光秀といいます。お見知りおき下さい」
「やはり明智殿であられたか。下役どもの無礼はおゆるしあれ。今し方、この方の耳にはいったので驚いて、早速お迎えしたわけでござる」
「彼処では、姓も生国も申し上げなかったはずでござるが、どうして、それがしとお分りになりましたか」
「城内の奥向きには、姪にあたる婦人が長く御奉公しておると、仰せられた由、それを聞いてすぐ、さてはと読めました。