Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 200 320 caractères · 398 écrans
「さても、さても、懐かしいぞ。会うは明日とのみ思うていたに、よう来た、よう来た。――この広間では広すぎて寒い。こなたへ来い。此方へこそ」
と、さしまねく。
これは驚くべき例外である。右大臣家みずから先に立って、しかも自分の居間へと案内するのであった。
秀吉たるものも、この主君の歓待に、どうして易々と甘んじていられよう。
「……あ、いや。わが君」
なにか、あわてていおうとはした。けれど、信長がさっさと行ってしまうので、身を屈めたまま、膝をもって駈けるように追いすがり、
「勿体ないお扱い、お座所にお在して、近臣へおいいつけ給われば」
「まあ、よい。入れ」
すでに、常住の一間の前である。信長の気もこよいは実に軽々と見うけられた。――それ、筑前に褥をとらせよ、寒いから手炉を与えよ、茶よりも、酒がよかろう、まだ夕食は前かすんだか――などという細々しいことまで、左右に命じ、彼にたずね、さながら親身の弟でも迎えてくれるようだった。
「……はい。……はい。はい」
とばかりの他は、秀吉は平伏したまま答えも出なかった。何をいおうとしても、ただ感泣が先だってしまう。有難なみだというものか、甘やかな感情の底から、時々、嗚咽になりそうな熱いものが痞みあげて来てならなかった。