Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 200 320 caractères · 398 écrans

Aozora Bunko

あやしい奇蹟のような恐怖感に囚われた山門下の武者輩は、

「あれよ」

「……あれよ」

と、囈言のような声を放って遠巻きに見まもっているだけだった。

ふしぎや、焔の勢いが最も旺んになった頃、快川の眼が二つ白く、火と黒煙の中に、くわっと開いたように感じられた。

間もなく、山門の廂は、ばらばらとくずれ、火塵はまるで華火のように噴きあげて、快川の影も、だんだん黒く変ってきたが、しかもなお曲に懸ったまま倒れもせずに楼上にあるではないか。

その影を失ったのは、山門の大厦が、大きな響きを立てて焼け落ちた瞬間だった。

焼け落ちたのちも、巨大な火の山は、終日、紫いろの余燼をめらめらあげている。そしてようやく夕方には灰になった。

その夜、恵林寺に屯した数千の兵は、大半、快川の夢をみた。いや夢にあらぬものが、あくる日も夢のように、頭につきまとっていたのかも知れない。

「士道を悟った」

心ある者は、そういう感銘をもらした。そして、

「快川のような境地にまでなり得れば、武士、僧侶の差別はない。いわゆる達人の境だ。われわれ、朝にも夕べにも、血腥い戦場を駈け、敵の死を見、友の死を送り、自分の死をも、覚悟はしていながら、戦場以外では、さて、そこまでには成りきれない」