Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 200 903 caractères · 400 écrans

Aozora Bunko

家臣としても実はそんな余裕はなかった。果たしてこれから無事に三河まで帰り着けるか否かすら、みな疑問の中だった。途中の安全は扈従の誰にも確信はないのである。――にも関わらず、危険を冒しても、浜松まで帰ろう。後図の何をなすにしても、ひとまず本国へ立ち帰った上で――と、急に堺を去ったものの、地方の情勢は都会以上険悪であったし、山野には早くも土寇の出没もあるらしい。その中を軽装にしてしかも小勢な一行が、この際、主人の一命を守って三河まで押し通ろうということは、ほとんど天助を祈るしかない冒険だったのである。

――いわば信長の奇禍は、惹いて直ちに、家康のこの災難ともなって来たわけであるが、彼やまさに、四十になったばかりの男ざかりである。うろたえはしていない。眼前の困憊などは、次の、大きな意欲の膨らみにうち消されて、むしろ歓びですらあった。

縷々と、香炉からのぼる香煙をながめては、

(右府の死を一期として、世の中はこれで大きくひとつまわった)

と考える。なによりも彼はそれを思う。

現実をはなれて家康の思考はない。これは幼少からのものだ。今とて、そうである。表面の彼と、肚の彼とは、見たとおりのものではない。