Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 180 256 caractères · 361 écrans

Aozora Bunko

ところが。

尋ねる先は見つからないし、きのうも今日も、照りつける炎天をさまよい歩いて、生胡瓜を喰ったり、井戸水をのんだりしたため、また腹が渋り出して、黄昏、この矢矧川の畔に辿りつくと、その痛む腹をかかえたまま、舟の中に寝入ってしまったものであった。

……腹がごろごろ鳴る。

微熱のせいか、口が乾く。茨の棘を頬ばっているように、口の中が、熱に刺され、そして唾がなかった。

そういううちにも。

母――

彼の瞼は、母を描き、彼の眠りには、母が訪ねて来ていた。

が、――いつのまにか、昏々と深く眠り落ちていた。その母もなく、腹の痛みもなく、天地もなく。

ところへ不意に、

おいッ! と呼びさまされたと思うと、誰か、自分の胸を、槍の石突で小突いた者があったのである。

――だれだッ。

日吉は、無意識に、槍の柄をつかんで、体に似げない大声を出した。

胸は、男のたましいの有り所である。五体のなかの神棚にひとしい所だ。槍の石突で、そこを小突かれたことは、相手の誰であるに関らず、日吉を、むッとさせたに違いなかった。

「小僧ッ。起きろッ」

小六の部下は、つかまれた槍の柄を、引きながら云った。