Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 180 256 caractères · 361 écrans
いや捕まったら汝だけですむことか、俺たちにとっても、大事だぞ」
何も知らぬのは不愍と思って、こう打ち明けはしたものの、彦十は、もし、猿の口から秘密が漏れたら――と、急に不安を覚えてきたらしいのである。
日吉は、彼の顔色を察して、
「だいじょうぶです。旅には馴れていますから」
「抜かりはあるまいが」
彦十はなお、だめを押して、
「敵地だからな。ここは」
「よくわかりました」
「どれ……。そういっている間にも、人目に怪しまれるといかねえ」
腰が冷えてきたと見え、彦十は立ち上がって、二、三度腰ぼねを叩きながら、
「猿、……汝の泊っている宿屋はどこだ」
「七内様がいる旅籠の、ちょうど裏にあたる横丁の木賃で」
「そうか。じゃあそのうち、おれも一晩泊りに行くが、合宿の人間には、特に気をくばれよ」
破れ弓を担って、弓直しの仁田彦十は、その一言を合言葉に、町の方へ立ち去った。
日吉は、残っていた。
「…………」
そしてなお、拝殿の横に腰かけたまま、ぽかんと、銀杏林の梢越しに、城の白壁を、遠くながめていた。
今。――彦十の口から、この国土の主たる斎藤家の内争と、その悪行ぶりを聞いてから、ふたたび、城を仰ぎ見た時、その鉄壁も、嶮崖の要害も、日吉の眼には、何の権威にも見えなかった。