Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 180 256 caractères · 361 écrans
「……はて。百姓でもなし、行者とも見えぬが」
嘉兵衛は、呟いて、駒の上から頻りと一方へ眼をこらしていた。
主人が眼をやっている方角へ、郎党の多賀能八郎も眼を放った。――だが、咲き爛れた菜の花や、青い麦や、苗代田の浅い水のほか、何も見当らないのである。
「殿、……何事でございまするか。何ぞ、御不審な者でも?」
「うム。あれに――あの田の畦につくなんで、鷺とも見える白い人影。何をしているのじゃろうか」
「え、鷺?」
能八は、主人のことばを、おうむ返しに受け取って呟きながら、主人の指さす先を見まもった。
なるほど、人がいた。
田の畦に屈みこんで――。
「質して来い」
と、嘉兵衛がいう。
能八は、はっと、駈け出して行った。
およそ、今は、どこの国々でも、少し不審と見られれば、すぐ調べられる。それ程、一国一国が、国境に対して、また、見馴れない人間に対して、神経が尖り立っていた。
「行って参りました」
能八は、すぐ戻って来て、嘉兵衛の馬前にこう復命した。
「あれは、針売りの旅商人で、尾張の者とか申しました」
「針売りか」
「垢じみた白木綿の腰切を着ていますので、ここから見ると、鷺のように見えますが、側へ参って近々と見ると、猿によう似た顔をした小男にござります」