Classiques japonais avec furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lisez 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 247 330 caractères · 497 écrans
真白な歯は水くぐる
歓びは枇杷の果のしたたり
盗みて食う庭かげ
酢くしわめる舌は
英吉利語の如し
不愉快なバイブルの革表紙
しめって臭く犬の皮むけ
西片町の邸の匂い
枇杷の実はくさったまま
木もれびの下のキジ猫
森閑と静もれる西片町
金魚屋のバッカン帽子が呟く
詩人もしゃがむ
円にうつす水鏡
雲に浮く金魚の合唱
生死のほどはいまもわからぬ
ただこの姿あるうちに召しませ
西洋洗濯のペンキ車
白い陶の表札と呼鈴
時間のとどまる一瞬の朝
この家々が澄まして悪を憎む
ペンキ車は後追う詩人
どこやらでうその鳴き声
世に叫ぶ何ものも持たざる詩人
開闢とは今日のことなり
昨日はもうすでに消え
あるは今日のみ今の現実
明日が来るのか……
明日があるのか詩人は知らぬ
(七月×日)
斑々に立つ斑々
人生の青さの彼方
重く軽く生きる斑々
燈火によるかげろう
只ひきずられて生きる
忽然と消えるも知らず
希望らしげな斑々の顔
悪念怨恨その日暮し
どうせ死ぬ日があるまでは
ムイシュキン様の憤怒絶望。
よりにもよって暗い顔
楽しい月日の人生なぞとは
あわあわとたわけたことだ
辛抱強くよくも飽きずに
Mボタンをはずしたり閉めたり
閃き吹きあげる焔の息
斑々の辛抱強さの厚顔