Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans

Aozora Bunko

みんな、あれは幻影じゃない、実践だったのさ。僕の死んだ父親だって、また君らのお父さんたちだって、生きているうちに一度はどうしても行ってみようと一生思い詰めて、とうとうそれも行われずに死んじまったことを、ともかく曲りなりにも、僕らは実践しちゃったんだからね。そしてどうだろう、何んのことはない、二代もかかって紙一枚の御幣に気がつくなんて――」

矢代はその最後のところで云い辛くふと黙ると、「残りたる紙一枚や父の春」と、そんな句が口から自然に出た。ブロウニュの森で東野や久慈たちと句作をやって以来の彼の句だったが、よく意味の分らぬままにも暫くそれを呟きつつ彼は俯向いて歩いた。

まだ棕櫚縄の結び目の新しい千鶴子の家の建仁寺垣が見えて来たとき、塩野は、「じゃ、ここで失礼しよう。さようなら。」と千鶴子に云った。

「どうもありがとう。でも、ちょっと休んでらっしゃらない。まだそんなに遅くはないんですもの。ね、お這入りになって――」

千鶴子はいつも入りつけている塩野に云う無雑作な声だったが、入れば中にいる彼女の母に初めて会う矢代の困惑の様子を慮ったと見え、幾分ためらう色のひそむのもすぐ闇の中で矢代は感じた。