Classiques japonais avec furigana
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たわらとうだ
日本の英雄伝説
楠山 正雄
Lisez 日本の英雄伝説 (たわらとうだ) de 楠山 正雄 (くすやままさお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 40 666 caractères · 84 écrans
田原藤太
一
むかし近江の国に田原藤太という武士が住んでいました。ある日藤太が瀬田の唐橋を渡って行きますと、橋の上に長さ二十丈もあろうと思われる大蛇がとぐろをまいて、往来をふさいで寝ていました。二つの目玉がみがき上げた鏡を並べたようにきらきらかがやいて、剣を植えたようなきばがつんつん生えた間から、赤い舌がめらめら火を吐くように動いていました。あたり前の人なら、見ただけで目を回してしまうところでしょうが、藤太は平気な顔をして、大蛇の背中の上を踏んで歩いて行きました。しばらく行くと、後ろでだしぬけに、
「もしもし。」
という声がしました。その時はじめてふり向いてみますと、今までそこにとぐろをまいていた大蛇は影も形もなくなって、青い着物を着た小さな男が、しょんぼりそこに座って、おじぎをしていました。
藤太は不思議そうにその男の様子をながめて、
「今わたしを呼んだのはお前か。」
と聞きました。小男はまたていねいに頭を下げて、
「はい、わたくしでございます。じつはぜひあなたにお願いしたいことがございます。」
といいました。
「それは聞いてあげまいものでもないが、いったいお前は何者だ。