Classiques japonais avec furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lisez 日本婦道記 (にほんふどうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 187 caractères · 24 écrans
三
三
西村の家は和泉というところにあった。長屋門をめぐらせたかなり広い屋敷で、門をはいると前庭があり、枝ぶりのよい榁の木が六七本、高雅な配置で植わっていた。お高は依田の家とあまりに違う家がまえに眼をみはりながら、老僕の案内で脇玄関へまわった。するとこちらの声を待ちかねていたように、五十あまりとみえる婦人があらわれ、泣くような笑顔で出迎えた。
「まあまあ遠いところをようおいでになった、お疲れだったろうね、今すぐすすぎをとりますよ」
心もここにないというようすで、お高にはものを云う隙も与えず、手をとらぬばかりにして奥へ導いていった。お高は初め茫然としたが、これがお梶という方だと思い、ご病気だというのが拵えごとだということをすぐに悟った。お梶という方、……彼女の頭にうかんだのはそういう呼びかたで、母という表現はどうしても出てこなかった。そして、この拵えごとのなかには単純でないものが隠されていること、然もそれがかなり決定的であるということは直感しつつ、その婦人のするままになっていた。
どんなたいせつな客ででもあるかのように、梶女はめしつかいをせきたててお高に風呂をすすめた、風呂にはいっていると二度も湯かげんをききに来たし、あがると仕立ておろしの高価な衣装が揃えてあった。