Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
めいあんよめもんどう
明暗嫁問答
山本 周五郎
Lisez 明暗嫁問答 (めいあんよめもんどう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 984 caractères · 43 écrans
ときも、菓子が無かったのではございません。貴方さまを父と思うひそかな甘えから、へたながら丹精して香物を作りました、召上ってひとこと褒めて頂きたかったのでございます、……いつかは父上とお呼び申したい、覚えてからいちども口にしたことのない『父上』という名を呼んで、叱られもし甘えてもみたい、……常づねそう思っていたからでございましょうか、いまのお戯れをお計りあそばすとは思いもよらず、まことの父に手を取られたような嬉しさ、まことの父から愛されるような嬉しさに、つい前後を忘れまして……」
そこまで云うとお笛は堪り兼ねたのだろう、両手で面を掩いながら泣き伏してしまった。勘太夫はいつか坐り直していた、だらしのないはなしだが、さっきから酔いも醒め、鼻がきな臭いようなぐあいになってきたと思うと、涙がこぼれそうで進退に窮した。さいわいお笛が泣き伏しているので、すばやく指の先で涙をはじきとばし、大変無理な威厳をつくりながらこう云った。
「泣くことはない、唯今のは酔ったまぎれの冗談だ、はっはっは、それを本当にして泣くやつがあるか、わしを見ろ、このとおり笑っておる、もう泣くな、勘弁しろ」