Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひるのはなび

昼の花火

山川 方夫

Lisez 昼の花火 (ひるのはなび) de 山川 方夫 (やまかわまさお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 030 caractères · 15 écrans

Aozora Bunko

健康な、のびやかな線だと思った。良い母になれる人だ、そう思った。

小暗くなって行く屋上で、彼は、そのやわらかな線の動きを、何べんも盗み見ていた。それは、肉慾とは無縁な誘惑とおもえた。むしろ、見ることのためにつねに彼女との距離を忘れてはいけないという、心のなかの制動のようなものだけが、彼の意識にあった。

「でも、川開きのなかった夏は、いま思うと、やっぱりとても淋しかったっていう気がするのよ。……あ、あれ、芽出柳っていうの。ご存知?」

丁字菊。銀爛。花苑。……花火は次つぎと夜を彩り、女は、まるで姉のように、彼に花火の種類や名や、それぞれの特徴やを教えた。それに女の成長した環境を感じとりながら、だが、その区別を覚えるのに、彼はあまり身を入れてはいなかった。

彼はただ、花樹の苗に挿された副木のような、女のやさしい線の美しさに結びつけられている、そんな棒立ちの気持だけを反芻していた。どこか頑なに背を反らした姿勢の、甘く、快い満足があった。

緑いろの華が、色とりどりの無数の光の造花が、そんな彼の目に咲き、夜空を賑わせては滑り落ちた。

もう、いくつか瞬く星も明るく、数えきれなかった。