Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

むらいちょうあんないれのからかさ

村井長庵記名の傘

国枝 史郎

Lisez 村井長庵記名の傘 (むらいちょうあんないれのからかさ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 794 caractères · 16 écrans

Aozora Bunko

「へえへえそううまく行きますれば、この世に苦の種はござりませぬが、あの子は昔から体が弱く……」

「おっとドッコイそれは大丈夫だ。長庵これでも医者だからな。お種は大事な俺の姪、病気だとでも聞こうものなら、すぐに駆け着け匙加減、アッハハハ癒して見せるよ」

「どうぞお願い致します」と十兵衛は質朴な田舎者、つつましく頭ばかり下げるのであった。

「ところで」と長庵は白い眼でジロジロ相手を見遣ったが、

「こう云っちゃ兄弟の仲で恩にかけるようで気恥かしいが、田舎者のあのお種を、六十両で篏めたのは、この長庵が口を利いたから、これが慶庵の手へかかればこう旨くは行くものでねえ」

「ハイハイそれは申すまでもなく、今度の事は義兄さんのお蔭、仇や疎かには思いませぬ」

「何せ江戸はセチ辛くそれに人間は素ばしっこく、俗に活馬の眼を抜くと云うが、どうしてどうして油断は出来ねえ」

「ハイハイ左様でございましょうとも」

「近い例が女泥棒だ」

「女泥棒と仰有いますと?」

「花魁泥棒と云ってもいい」

「花魁泥棒と申しますと?」

「なるほどお前は田舎の人、噂を聞かぬはもっともだが、近来江戸へ女装をしたそれも大籬の花魁姿、夜な夜な出ては追剥、武器と云えば銀の簪手裏剣にもなれば匕首にもなる。