Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lisez 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 169 810 caractères · 345 écrans

Aozora Bunko

入院して二、三日目のことだ。

「別にそれほど――」

大正エビは彼の眼をうかがいながら答えた。

「あれば飲みますがね」

朝から飲むとのことであった。つまり一日中酒の気の切れる時がない。しかし大正エビの言葉がうそであることは、同室になってやっと判った。彼は付添婦を買収して、薬瓶(含嗽用の大瓶)に酒を買って運ばせていた。飲んでも顔には出ない。態度も変らない。ただ酒が切れると不安になり、こわくなって来る。

〈今のおれとよく似ている〉

五郎は思う。歩きながら、左手の海のひろがりが何となく気になる。いったん波打際に行くが、歩いている中に、しだいに足が防風林の方に寄って行く。振り返ると、足跡がそうなっている。やがて川にぶつかった。川口は南方は彎曲し、石で護岸工事がほどこしてある。岸はかなり高い。五郎は腰をおろした。また瓶の栓を抜いた。熱いものが咽喉をつらぬいた。

「さて」

五郎は岸壁がこわかった。生れて最初に水死人を見た所が、これによく似た岸であった。材木を三本、三脚式に立て、結合部から綱が数本水に垂れている。その綱で水死体をからめようとするのだが、なかなかひっかからない。