Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lisez 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 169 810 caractères · 345 écrans

Aozora Bunko

今朝の坊の宿と同じ姿勢で、妓の持って来た茶をすすりながら、道を見おろしていた。道を通る人は前方ばかり注意して、案外上を見ないことに彼は気がついた。背徳と疎外の感じはあったが、別に妙な優越感がやがて彼に湧き上って来た。お前たちはせっせと蟻のように登校して行くが、おれはこんなところで一夜を明かしたんだぞ。そんな謂れのない優越感で、彼は茶をすすり、煙草をふかしていた。と言っても、今直ぐ堂々と外に出て行く勇気はなかった。優越感といっても、それは若さが持つ虚勢に過ぎなかった。その時通行人の中の一人が、どんなはずみからか、ふっと顔を上にねじ向けた。五郎と視線がぴたりと合ってしまった。

それは五郎が教わっている松井というドイツ語の教授であった。中年にして頭の禿げた小太りの教授で、足をとめていぶかしげに五郎を見ている。今更五郎も顔を引込めるわけには行かない。眼を据えて、松井教授をにらみつけた。時間にすると、二、三秒だったかも知れない。感じからすると、十秒から十五秒くらいに思われた。教授は顔を元に戻すと、すたすたと歩き出した。五郎は荒々しく窓をしめた。

にらみ合いに勝った、という感じは全然なかった。