Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lisez 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 169 810 caractères · 345 écrans
私は眼を開いた。坊津の基地にいた時、水上特攻隊員を見たことがある。基地隊を遠く離れた国民学校の校舎を借りて、彼等は生活していた。私は一度そこを通ったことがある。国民学校の前に茶店風の家があって、その前に縁台を置き、二三人の特攻隊員が腰かけ、酒をのんでいた。二十歳前後の若者である。白い絹のマフラーが、変に野暮ったく見えた。皆、皮膚のざらざらした、そして荒んだ表情をしていた。その中の一人は、何か猥雑な調子で流行歌を甲高い声で歌っていた。何か言っては笑い合うその声に、何とも言えないいやな響きがあった。
(これが、特攻隊員か)
丁度、色気付いた田舎の青年の感じであった。わざと帽子を阿弥陀にかぶったり、白いマフラーを伊達者らしく纏えば纏うほど、泥臭く野暮に見えた。遠くから見ている私の方をむいて、
「何を見ているんだ。此の野郎」
眼を険くして叫んだ。私を設営隊の新兵とでも思ったのだろう。
私の胸に湧き上って来たのは、悲しみとも憤りともつかぬ感情であった。此の気持だけは、どうにも整理がつきかねた。此の感じだけは、今なお、いやな後味を引いて私の胸に残っている。欣然と死に赴くということが、必ずしも透明な心情や環境で行われることでないことは想像は出来たが、しかし眼のあたりに見た此の風景は、何か嫌悪すべき体臭に満ちていた。