Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lisez 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 169 810 caractères · 345 écrans
温泉に入ったこと、あんまをされたことで、彼の体はぐにゃりとなり、虚脱し始めていた。しかし感情は虚脱していない。むしろとがっている。彼はのろのろと寝巻に着換えた。膳を廊下に出すと、布団の中にもぐり込む。もぐり込んでも、彼はまだ怒っていた。
「おれは憐れまれたくないんだ」
怒りのあまり、布団の襟にかみつきながら思った。
「憐れむだけでなく、かまってもらいたくないんだ!」
朝早く伊作を発ったので、昼前に熊本に着いた。駅は人の動きや汽笛やスピーカーで騒々しい。駅の構内に入ると、どうして人間はこのように足早になるのだろう。そう思いながら、五郎の足もしだいに早くなる。皆せき立てられた鶏のようだ。肩と肩とが時々ぶつかり合う。
改札を出ると、案内所に寄り、旅館の名を確める。次いで郵便局に寄り、東京の三田村に電報を打った。
『東京に戻るから旅費を送って呉れ』
という意味のもので、旅館の町番地を書き、そこの気付にした。東京に戻る気持は、昨日からきざしていた。この電報を打てば、決定してしまう。それが一瞬彼をためらわせた。
〈しかし電報を打たなきゃ、金はどうする?〉
エイという気合で、彼は窓口に頼信紙を差出した。