Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lisez 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 169 810 caractères · 345 écrans

Aozora Bunko

花田中尉はインタアルに落ち延びる時、水牛にでも積んで行ったのか薬品を沢山もっていて、今はその薬品を原住民の食糧と換えそれで食いつないでいるらしい。戦場から身をもって逃れたというような想像を彼は今までしていたのだが、そのような才覚なしでは密林中に一箇月も独立して生きて行くことは困難な筈でもあった。昨日高城が花田と会ったのは、両側から草山の斜面が切れこんだ渓あいの小さな部落で、その小屋にはもはや同盟の記者はいない。食糧と塩を求めて東海岸方面に出発したという。東海岸はインタアルから一本道である。そこは未だ戦災が及んでいないのである。

「柱によりかかって脚には毛布をかけて居られましたから、負傷の具合は判りません」

「召還に応じないと言ったんだな。どんな口調で言った?」

「――あたり前の調子でした」

「部屋には彼一人がいたのか」

高城は暫く黙って歩いていたが、ふと放心から呼び醒まされたような声で言った。

「情婦もいました」

宇治はその言葉にいやな顔をして、肩を揺り上げた。今まで花田の女のことは、情婦という言葉では頭に浮んで来なかったのである。しかし現実のあり方から見れば、そのような卑しい称呼が一番適当しているのかも知れなかった。