Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

すてるかね

棄てる金

若杉 鳥子

Lisez 棄てる金 (すてるかね) de 若杉 鳥子 (わかすぎとりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 286 caractères · 5 écrans

Aozora Bunko

一金一百円也永代経料

× × 寺 殿× × 家

と細字で書かれてあった。

住職は気味の悪い程柔かい物馴れた態度でその金を受け取った。

円い大きいスタンプのような寺の判を捺した領収書を貰うと彼女はすぐに其処を出た。不浄物を棄てたような身軽さと、親戚の環視の眼から逃れたような気易さとを感じながら、寺の石段を下りたが、先刻から彼女の眼には、死んだ祖母が背を屈めて、物影へ入っては、チャリン、チャリンと音をさせながら、一日中に屹度(きっと)一度、人に隠れて銭勘定をしている姿が泛んでいた。

当時彼女はよく、祖母の銭勘定を嗤(わら)ったり罵ったりしたが、今はその姿を想い出すと眼頭へ涙が滲んで来た。

然し先刻のあの僧侶が、祖母の為に永遠に経を読む等という真ッ赤な嘘を、公然とお互に通してゆく世の中を考えると、彼女は擽(くすぐ)られるような気持ちにもなった。

寺の石段の上からは、直ぐ下に暮の街が展開された。薄い夕靄の中に電燈の火が鏤(ちりば)められていた。

彼女は石段を下り切ると、一度寺の方を振り仰いで見た。厳めしい楼門は貧弱な寄進者なんか眼中にも置かないように、そそり立っていた。