Classiques japonais avec furigana
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すてるかね
棄てる金
若杉 鳥子
Lisez 棄てる金 (すてるかね) de 若杉 鳥子 (わかすぎとりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 286 caractères · 5 écrans
此処は典雅な本堂を見た眼には、闇と光りのように趣きが異う。相場師の住宅という感じがあった。
彼女は玄関に突っ立った儘、手持ち無沙汰に木の香の新しい周囲を見廻していた。その瞬間、ふと先刻の本堂で見た莫大な寄附金が何に使われたかに気附いた。勿論この住宅も電話も檀家の寄附によって新造されたものだろうと思った。
そして彼女は無意識に、懐中の永代経料に手を宛てた。そこには、あの倹約な祖母が、一日に何遍も数えて溜め遺した、そして今この傲奢な宗教家の生活の中に溶け込もうとする百円があった。
その時、彼女の背後に、「お帰りいッ」と勢のいい車夫の声がして、一台の俥が梶棒を下ろした。すると先刻から何度呼んでも出て来なかった坊さん達が、ただ一声で三人許り出て来て玄関の敷台に膝を突いた。
俥から現れたのは、酸漿(ほおずき)のように赤く肥った中年の僧侶だった。法衣こそは纒っているが、金ぶちの眼鏡の下には慾望そのもののような脂肪(あぶら)ぎった贅肉が盛り上がっていた。
用事は簡単なのだったから彼女はそれが住職だと知ると、早速来意を告げて、懐中から例の紙幣を取り出した。
新しい五円紙幣二十枚、括った帯封には、親戚の老人の手で、