Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 073 caractères · 223 écrans

Aozora Bunko

丹三郎は手紙を受取ってから、「お願いがある」と云った。

甲斐は「なんだ」と云った。

「江戸へ戻りましたら、私を鬼役(藩主の食膳の毒見をする役)にあげていただきとうございます」

甲斐は屹となった。――あの話しを聞いたな、と思い、さっきの異様な表情はそのためだったのか、そう気づいて、丹三郎の顔をにらんだ。

「そんなことは聞きたくない」と甲斐は云った。

丹三郎は思いつめたようすで「お願いでございます」と平伏し、どうか鬼役にあがれるよう計らっていただきたい、と云った。

「ならん、もうさがれ」と甲斐は顔をそむけた。

丹三郎は唇をかみ、眼に涙をためながら出ていった。

なにごとですか、と隼人が不審そうに甲斐を見た。甲斐はそれには答えず、明日は新左衛門には会わない、帰ると云ったら送ってゆくように、自分はあと三日したら帰館する、と云った。隼人は承知してさがった。

その夜、甲斐は午前二時ごろまで、独りでじっとものおもいに耽っていた。

明くる朝、伊東新左衛門は青根を去った。片倉隼人はそれを送って去り、塩沢丹三郎は江戸へ戻るために山をくだった。

おそい朝餉を済ましてから、甲斐は宇乃を伴れて歩きに出た。