Classiques japonais avec furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 073 caractères · 223 écrans
又之助は辻村平六の弟で十四歳、大助は堀内惣左衛門の二男で、年は同じ十四歳だった。
給仕はいらないから、もっと酒を持って来てくれ、と七十郎が云った。少年たちは甲斐のほうを見たが、七十郎にせきたてられて去り、家紋を蒔絵にした柄樽を持って来、そしてひきさがった。
「原田さん、膳が来ていますよ」と七十郎が云った。
甲斐は「もう少しだ」と云って書きつづけている。七十郎は自分の膳をひきよせ、銚子を取って、手酌で飲んだ。
「そうか」と七十郎は手酌で飲みながら頷いた、「それならそれでよろしい、そうしていらっしゃい、どっちにしろ私は訊くだけのことは訊くんだから、冗談じゃない、そんな拒絶のみせかけぐらいでひきさがるような、七十郎じゃあありませんからね」
「謙遜だな」と甲斐が云った。
「なにをそんなに拗ねるんだ」
「貴方は変りましたね」
甲斐は「うん」と頷き、筆を措いて、書いたものを読み返してから、「なにか云ったか」と問い返しながら、その料紙を折りたたんで、鈴を鳴らした。
成瀬久馬が来た。甲斐はいま書いたものを渡し、「惣左衛門に」と云った。久馬はすぐにさがっていった。
「さて不平を聞こう」